日本学術会議による第25期新規会員任命に関する菅義偉首相への要望を支持します

 2020101日、菅義偉首相は日本学術会議が推薦した新しい会員6名を任命しませんでした。これを受けて日本学術会議は、2020102日に行われた第181回総会で、推薦した候補者が任命されなかった理由の説明と速やかな任命を求める要望を決議しました。その後、菅首相は2020105日に内閣記者会のグループインタビューに応じましたが、6人を任命拒否した理由について「個別の人事に関することについてはコメントを控えたい」などと、説明を拒絶しました。任命を拒否された会員たちは、これまで共謀罪などの政府による政策を批判したことがあります。また、日本学術会議は、政府の進める軍事研究に対して反対の立場を明確にしています。菅政権は、学者たちの学問的良心に依拠したそうした自律的な意見表明を恐れ、任命を拒否した疑いがあります。学者が自己の学問的根拠に基づいて主張したことで不利益に扱われたとしたら、由々しきことです。

 日本学術会議は、政府から独立して科学に関する審議などを行うことを法律で保障された組織です。菅首相は105日のインタビューで、今回の任命拒否について、「学問の自由とは全く関係がない。それはどう考えてもそうではないか」と断言していました。しかし、憲法15条を持ち出して任命権があるなどとする憲法解釈は極めて恣意的で、菅首相は憲法23条の学問の自由の趣旨を全く理解していないと言わざるを得ません。菅政権による今回の任命拒否は日本国憲法違反であり、日本学術会議法にも違反しています。

 日本国憲法が第23条に学問の自由を明記し、日本学術会議の独立性が法的に保障されているのは、戦前の京大滝川事件、天皇機関説事件が想起するように、学問の自由の侵害が、市民一人一人の思想・良心の自由をはじめとした精神的自由の侵害・剥奪に帰結したという歴史の痛苦な教訓に基づいています。それは、最終的に、無謀な侵略戦争による国内外での無数の悲劇を招きました。

 学問の自由を守ることは、単に学者だけの問題ではなく、市民が享受すべき思想・言論の自由を守ることと同義です。私たちは、市民の方々に問題の重大性を知っていただくことを希望するとともに、学問の自由を守るために、日本学術会議による第25期新規会員任命に関する菅義偉首相への要望を支持し、任命を拒否した理由の説明と6人の候補者の速やかな任命を求めます。

 

2020106

名古屋学院大学有志一同

 

賛同者:阿部太郎 飯島滋明 家本博一 榎澤幸広 菅野光公

    十名直喜 西寺雅也 西脇隆夫 早川洋行 宮坂清 

        柳川真太朗(計11名)

学外賛同者:高橋博子 兼松秀代(計2名)

賛同者計13名(2020102419:30現在)

 

お問い合わせは taro-abe<at>ngu.ac.jp までお願いいたします。

教職員OBの方のご賛同も歓迎いたします。 

匿名でも受け付けております。 

 

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